ヨーロッパの主要な都市は比較的治安のいい都市が多いですが、ヨーロッパ旅行で特に気を付けたいのがスリや置き引き被害です。
そんなヨーロッパの中で特に一番治安が悪いといわれているのはスペインのバルセロナで、バルセロナ市内でのスリ被害はヨーロッパの中で群を抜いて高いのが現状です。
更に2019年9月には外務省がバルセロナの治安悪化に関する注意喚起を行っており、数年前と比べるとかなり注意が必要な都市になりました。(2019年は2018年に比べ、殺人事件が倍増、強盗事件が30%増加しています)
しかし、スリや置き引き、引ったくり、強盗事件は事前にしっかり防犯対策を行えば高確率で防ぐことができます。
私は2019年年末に夫と2人でバルセロナ旅行に行ってきました。
その際、バルセロナの治安情報や危険地域など調べ尽くし考えられる防犯対策をすべて行ったため、特にトラブルに巻き込まれることなく安全にバルセロナ旅行を楽しむことができました。
この記事では
- 最近のバルセロナの治安事情
- 私が実際に行った危機管理
- 事前にできる防犯対策
- 実際にバルセロナ市内を歩いて感じたエリア別治安の感想
を紹介していきます。
もくじ
【2020年】バルセロナの最近の治安事情
バルセロナは以前からヨーロッパ内で特に治安に不安がある地域でしたが、2019年9月6日に外務省が「スペイン:バルセロナ市における治安悪化に関する注意喚起」を行っていることから、更なる注意が必要になっています。
バルセロナの治安悪化に関する注意喚起の内容は以下のとおりで、この注意喚起は2020年2月現在も有効になっています。
【内容】
1 2019年8月,カタルーニャ州警察は,昨年に比べバルセロナ市における殺人事件が倍増したほか,強盗事件が約30%増加するなど,治安が悪化している旨を発表しました。2 バルセロナ市では,今年に入り,外国政府高官がひったくり被害に遭った際に転倒し,頭部を強打して死亡する事件や,高級腕時計を奪われ負傷する事件が発生しています。また,邦人の方も,ひったくり被害に遭った際に転倒し骨折する重傷を負ったり,旧市街を観光中に5~6人の集団に引きずり倒され,金品を奪われたりする強盗致傷事件の被害に遭っています。
3 バルセロナ市に渡航・滞在される方は,多額の現金・貴重品を持ち歩かない,財布等の出し入れは外から見えづらい場所で行う,人通りの少ない時間帯や場所における外出を避けるなど基本的な防犯対策を徹底して,外出の際には,周囲の状況に十分注意し,安全確保に努めてください。
2018年に比べ、2019年は
- 殺人事件倍増
- 強盗事件が約30%増加
- 引ったくり被害による死亡事故
- 強盗致傷事件の発生
という状況で、治安悪化が激しいことが分かります。
先ほども述べましたが、この情報は2020年2月現在有効と外務省HPに記載されていますので、2020年にバルセロナの旅行を予定している人も十分な注意が必要です。
更に、「バルセロナの治安情報|地球の歩き方」ではスマホ盗難の被害が特に多い旨が記載されています。
目的地までの道順を調べたり、レストランを探したり、写真を撮ったりと旅行中に大活躍のスマホですが、スマホを持ってるが故に引ったくりや強盗に目を付けられるなんてたまったもんじゃないですよね。
普段旅行中はかなりスマホのお世話になってる!という人も、バルセロナ旅行中は思い切って紙地図などアナログで過ごしてみてください。
安全に街歩きをするためのポイント
実は私、かなりの心配性なんです。
バルセロナはヨーロッパで一番危険な都市というイメージがあったので、もともとヨーロッパの中でもバルセロナだけは行きたくないと思っていたのですが・・・
夫は「バルセロナは絶対行く!」というタイプで。。
夫の気迫に負け、”事前・旅行中の危機管理を徹底する”ということを条件に今回バルセロナの旅行に行ってきました。
そこで、【私たちが行った危機管理4つ+その他事前にできる3つの防犯対策】を紹介したいと思います。
旅行になれている方やそこまで心配性でない方からすると「そこまでしなくても・・・」という対策もありますが、治安に関しては”心配しすぎ”ということはないと個人的には思っています。
バルセロナの治安が心配で、とにかくできる限りの対策は全部やっておきたい!という方はぜひ参考にしてみてください。
歩きスマホはNG!紙地図を用意する
私はバルセロナ旅行前に「スマホのひったくり事件が増加している」という記事を読み、バルセロナの街歩きには紙地図を利用しました。
私が印刷した地図はこちら→「バルセロナの観光地図ができました!ガイドさん監修 【印刷用pdf】 | Pokke Magazine」(外部サイトに飛びます)に掲載されているものです。
主要な観光スポットから、日本人に人気のバルなどがまとまっていてとても便利でした。
私たちは
- 自分用と夫用で2枚ずつ印刷
- 事前にすべての予定を組み立てる
- レストラン・バルも事前にすべて調べる
- 旅行中にまわるスポット&お店を紙地図にマーク(時間、順番も書き込む)
- 当日歩くルートを地図を見ながらシミュレーション
を旅行前に行っていきました。
旅行中は予定をただ順番に消費していくみたいな気分になりましたが、十分楽しめましたし、危険な目に遭うよりはがちがちな予定をこなしていく方が全然よかったです。
【3泊4日のバルセロナ旅行記】も書いています。街の雰囲気などは旅行記の方が分かりやすいので参考にしてみてください。
基本は徒歩で移動
市民が利用する地下鉄やバスもあまり乗りたくなかったので、基本は徒歩で観光をしました。
ホテルはグラシア通り沿いの「ホテル プラクティーク ベーカリー」に泊まっていたのですが、グラシア通り沿いなので治安も安心で、観光にもとても便利な立地です。
旅行2日目に朝一でサグラダ・ファミリアを見学し、その後カタルーニャ音楽堂の見学をしたのですが、その間の移動もすべて徒歩(40分ほど)にしました。
ちなみにサグラダ・ファミリアからカタルーニャ音楽堂まで最短ルートだと30分ほどなのですが、治安が心配だったので私たちはいったんグラシア通りに出て、グラシア通り沿いを南下するルートで移動しました。(以下の地図参照)
唯一グエル公園だけは徒歩ではなくタクシーを利用しました。
グラシア通りからグエル公園まではタクシーで片道10€ほどなので、それで安全が買えると思えば高くない金額です。
ちなみに流しのタクシーだとぼられる可能性があるので、アプリで呼ぶのをおすすめします。
グエル公園は無料で入場する方法もあるので、私たちはグエル公園に無料で入場し、浮いた分のお金をタクシー代に費やしました。グエル公園のチケット事前予約方法および無料で入場する方法は以下の記事でまとめています。
>>グエル公園のチケット事前予約&購入方法と無料で入場する方法
また、最終日にはバルセロネータに行っているのですが、そのときも徒歩で行きました。
バルセロネータまではサンタ・マリア・ダル・マル教会から大体30分ほどです。
「避けるべき地域」には絶対に立ち入らない
私はバルセロナの治安に対してかなりの不安があったので、事前に治安マップを検索していきました。
一番参考になった記事はこちら→「バルセロナ 治安:注意点 安全性 治安の最新情報(バルセロナ版)」(外部サイトに飛びます)です。
上記記事によるとバルセロナで特に治安が悪いといわれている地域は以下になります。
- サンツ駅
- 地下鉄各駅
- ゴシック地区
- サグラダ・ファミリア周辺
- ランブラス通り
- モンジュイックの丘
- カンプ・ノウ
また、上記記事内には「絶対避けた方がいい地区」ということで旧市街(ラバル地区、ゴシック地区、ボルン地区)の避けるべき地域をA・B・C・Dの4つに分けて詳しく説明してくれています。
私はこの「避けるべき地域」を印刷した紙地図に記入(塗りつぶすなど)して、旅行中はその地域には絶対に足を踏み入れないようにしました。
暗い時間の街歩きは避ける
最後に、私が年末のバルセロナ旅行で徹底したのが「暗い時間の街歩きは避ける」ということです。
夕食のために出歩く必要はあったのですが、グラシア通り近くのお店を事前に調べてグラシア通り周辺以外は出歩きませんでした。
また、夕食も17:00や18:00からと早い時間からスタートさせ、夕食後も観光はせず真っすぐホテルに戻りました。
グラシア通りは暗くなってからも賑わっているのですが、1本横に入るとまったく人通りがなく暗くて危険な道もあるので、暗くなってからの街歩きは極力避けることをおすすめします。
その他の事前にできる防犯対策
その他、事前にできる防犯対策を3つ紹介したいと思います。
海外旅行保険に加入しておく
海外旅行の際は必ず海外旅行保険に加入しましょう。
もちろん、海外旅行をするだけなら病気になったり事故にあう可能性はかなり少ないです。
しかし、病気になったり事故にあう可能性はゼロではないですよね。
国にもよりますが、例えば海外で盲腸の手術をすると大体100万円かかるといわれています。
また、ヨーロッパは他の地域に比べてスリが多く、その中でも特にヨーロッパ一危険といわれているのがバルセロナです。
そのため、ヨーロッパ海外旅行の際は海外旅行保険への加入がマストといえます。
個人的に一番おすすめできるのが年会費無料で持っているだけで保険が適用(自動付帯)されるエポスカードです。
紛失・盗難保険もあり、キャッシュレスサービスにも対応しているのでかなり重宝できます。
既にエポスカードを持ってる!という人は、年会費無料の楽天カードとの併用がおすすめです。クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償額は合算することができるので、併用している方が補償額が大きくなり安心して海外旅行を楽しめます。
エポスカードや楽天カードについては以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
>>ヨーロッパ在住者がおすすめするクレジットカード付帯の海外旅行保険
貴重品はスキミング防止のセキュリティポーチへ
実は私はこれまでに2回スリの被害に遭っています。
1回目はイタリアのヴェネチア、2回目はドイツのデュッセルドルフです。
それ以来パスポートやお財布などの貴重品はすべてセキュリティポーチで持ち歩くようにしています。
バルセロナはヨーロッパで一番危険ということでかなり警戒していたのですが、無事スリ被害やその他のトラブルに巻き込まれることなく旅行を終えることができました。
薄型で服の中に隠しても全然不自然さがないので、私はこのセキュリティーポーチに貴重品を入れ、服の下に装着していました。
ダミーのお財布を用意しておく
スリや引ったくりは注意していれば被害を防ぐことができますが、海外では急に路地裏に引きずり込まれ、ナイフでお財布を出すように脅される可能性も十分あり得ます。
そこで、脅されたときに差し出す用のダミー財布を一つ準備しておきましょう。
このダミー財布はセキュリティポーチではなく普通のカバンに入れておくようにしてください。
また、ダミー財布には以下のものを入れておくとより”本物のお財布”感が増します。
- カード(有効期限切れのものなど)1~2枚
- 小銭
- 10€紙幣1枚
小銭だけだと「小銭入れか?」と思われて、他にもないか確認されてしまう可能性があります。
カードがない場合は「クレジットカードもあるだろう」と脅される可能性があります。
脅している側も奪ったらすぐに立ち去りたいはずなので、”パット見普通のお財布”であれば被害はそれだけに抑えられる可能性が高いです。
バルセロナのエリア別治安(実際に歩いた感想)
ここからは、私が実際に街を歩いてみた感想をお伝えします。
- ディアゴナル駅周辺
- サグラダ・ファミリア周辺
- ゴシック地区
- ボルン地区
- バルセロネータ
と5つのエリアに分けて紹介していきます。
ディアゴナル駅周辺
ディアゴナル駅周辺はバルセロナ市内中心部では一番安全なエリアです。
特にグラシア通りは広々としていて、道の両側にはホテルやブランド店が立ち並びとても清潔な雰囲気です。
主な観光スポットとしてはカサ・ミラ、カサ・バトリョなどがあります。
グラシア通り
バルセロナ市内を歩き回った中で個人的に一番安全だと感じたのがグラシア通りです。
幅も広く、東京の表参道やパリのシャンゼリゼ通りのようなイメージの通りが続いています。
カサ・ミラやカサ・バトリョなどの観光スポットも通り沿いに点在しているため、日中は常に観光客で賑わっています。
観光の拠点となるホテルはグラシア通り沿いで探すのが一番便利です。
バルセロナ市内では一番安全だと感じましたが、歩きスマホは避けるようにしましょう。
何組か日本人観光客を見かけましたが、みなさんスマホではなく紙の地図で道を確認していました。
カタルーニャ広場周辺
グラシア通りを南下するとカタルーニャ広場があります。
定期的にイベントなども開催されていて、グラシア通り以上に混雑しています。
広々としていて気持ちのいい広場ですが、人が溢れグラシア通りより少し治安面は不安に感じられました。
治安面が不安といっても明らかに危ない感じの人がいるというわけではなく、いるとすればスリが多そうな感じです。
ディアゴナル通り
ディアゴナル通りはグラシア通りからサグラダ・ファミリアの方へ向かって伸びている通りです。
周辺の小道と比べると早朝(8時代)でもチラホラ人が歩いていました。
ちなみに私は12月下旬の旅行で朝一でサグラダ・ファミリアまで向かいました。まだ薄暗い時間帯でホテル周辺の細い道はちょっと危ないかなと感じたのですが、ディアゴナル通りまで出てしまえば車も通っていてそこまで危険な雰囲気は感じませんでした。
サグラダ・ファミリア周辺
サグラダ・ファミリア周辺はとにかく人が多く、ちょっと気を緩めるとすぐスリ被害に遭いそうなほど混雑しています。
観光客だらけなので危害を加えられるような犯罪に巻き込まれる可能性は低いですが、とにかくスリがたくさんいるので鞄は必ず手で押さえながら歩くようにしましょう。
また、サグラダ・ファミリアの写真を撮るのに夢中になりすぎるのも危険です。
ゴシック地区
ゴシック地区は旧市街の一エリアで、旧市街はディアゴナル駅周辺と比べると注意が必要な地域に該当します。
主な観光スポットとしては、カテドラル(大聖堂)、王の広場などがあります。
ランブラス通り
ランブラス通りはカタルーニャ広場から南に続く通りで、ゴシック地区とラバル地区の間を通っています。
グラシア通りよりは狭いですが、比較的広めの大きな通りです。
ただし、グラシア通りと比べると明らかに治安の悪さを肌で感じました。
何かトラブルに遭遇したわけではないですが、若干怪しそうな人も歩いています。
ランブラス通りの西側に位置するラバル地区には昼間でも用がない限り入らないようにしましょう。
カテドラル周辺
カテドラル前は少し開けていて屋台のようなものが並び、賑わっていますがゴシック地区内は比較的細くて暗い道が多いです。
ゴシック地区の細い道は昼間でも日当たりが悪く薄暗いので、人の量を見て誰も歩いていないような小道には入らないようにしましょう。
私はカテドラルに行った際、ゴシック地区内はほぼ歩かず、ライエタナ通りという少し大きな通りを利用しました。
ライエタナ通りを1~2本中に入るとすぐカテドラルが見えてきます。
ボルン地区
ボルン地区はゴシック地区の東側に位置しており、旧市街の一エリアに該当します。
主な観光スポットはカタルーニャ音楽堂、バルセロナ凱旋門、ピカソ美術館、サンタ・マリア・ダル・マル教会です。
ゴシック地区の北側(上半分)はゴシック地区の中でも特に危険とされているので、大事な用事がない限り避けた方が無難です。
バルセロナ凱旋門周辺
バルセロナ凱旋門周辺は比較的穏やかな雰囲気で、特に凱旋門からシウタデリャ公園まで続く広場はのんびりしていて散歩にピッタリです。
ただし、すぐ隣がボルン地区で避けるべき地域にも入っているので、凱旋門~シウタデリャ公園の間は凱旋門前の広場を真っすぐ歩くのがおすすめです。
また、私たちはバルセロナ凱旋門~カタルーニャ広場までも歩いているのですが、ボルン地区には一切入らずトラファルガ通りを真っすぐ行きました。
ピカソ美術館周辺
ピカソ美術館は結局当日券が売り切れていて見学はできなかったのですが、美術館までは実際に歩いています。
バルセロナ市内を徒歩で歩いた中ではピカソ美術館周辺が一番治安が悪いと感じました。
1本細い道に入ると全く人がいなかったり、明らかに危なそうな見た目の人も歩いていたので明るい時間しか出歩かない方が賢明です。
冬にバルセロナ旅行を計画している人は日の出・日の入り時間を確認して、明るい時間帯に訪れるようにしましょう。
サンタ・マリア・ダル・マル教会周辺
サンタ・マリア・ダル・マル教会周辺はバルセロナ市内を歩いた中では一番人が少なかったです。
ピカソ美術館やサンタ・マリア・ダル・マル教会は避けるべき地域には入っていないのですが、私は治安が心配だったのでラエタナ通りをまっすぐ歩き、1本中に入れば教会にたどり着くというところまで大通りを利用しました。
ちなみに治安とは関係ないですが、サンタ・マリア・ダル・マル教会のすぐ目の前にチョコレートケーキが有名な「Bubo Born」というケーキ屋さんがあります。
バルセロネータ
バルセロネータは海沿いしか歩いていないのですが、みんな日光浴をしていたり冬でも海に入っていたり、とてものんびりした場所で治安の悪さはほぼ感じませんでした。
私が行った「エル カングレホ ロコ」というレストランの並びにはたくさんのレストランがあり、歩いていると呼び込みの人に日本語でめちゃくちゃ話しかけられるのですが、特に危なくはないので無視して問題ありません。
アジア人にターゲットを絞って必死に呼び込みしてるレストランがあるのですが、そういうお店はぼられる可能性大なので入らないのが無難です。
まとめ:事前準備で安全に街歩きをしよう
バルセロナはスリが多いといわれるヨーロッパの中でも特に危険とされている都市です。
少しでもリスクを減らすために、万全の準備で旅行に望みましょう。
【事前にできる防犯対策】
- 紙地図を利用しスマホは使わない
- 基本は徒歩で移動
- 「避けるべき地域」に入らない
- 暗い時間の街歩きは避ける
- 海外旅行保険に加入しておく
- 貴重品はセキュリティポーチで保管
- ダミー用のお財布を用意する
また、事前にしっかりと旅程をたてるためにも”絶対に行きたい観光スポット”のチケットはオンラインで事前に購入しておくようにしましょう。
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